特発性過眠症

特発性過眠症とは

特発性過眠症は、日中の過度の眠気を主症状とする疾患のうち、ナルコレプシーの特徴(入眠期のレム睡眠の出現など)のないものの総称です。この他には、周期性過眠症がありますが、これが傾眠期と間欠期(寛解期)を繰り返す、つまり眠い時期とそうでない時期があるのに対して、特発性過眠症は、症状は比較的一貫して続きます。

原因は

原因は不明で、実際にはいくつかの異なった病態の総称である可能性もあります。過眠症のもう一つの代表疾患であるナルコレプシーは、脳内のオレキシンという覚醒を維持するために働く物質の機能不全と考えられていて、実際にオレキンが少ないことも確かめられています。しかし、特発性過眠症は、それ以外の眠気のある疾患の総称のようなもので、はっきりした原因はわかっていません。

しかし、これまでの研究から、あるいは、私自身の臨床的な経験から、いくつかの要因が考えられます。

  • もともと、長時間睡眠が必要な人が、社会的な生活に適応するために7時間程度の睡眠時間で過ごさなければいけない状況がある場合。
  • 実際に、未知だがナルコレプシーのような覚醒に関わるメカニズムの問題がある場合。
  • 他の項目でも説明しているように背景に、発達障害がある場合。

どのように診断しますか

まずは、その患者さんの睡眠習慣について子供の頃からお聞きします。一般に長時間睡眠者は、小さい頃からよく眠るという場合が多いので、そういうことがあるかどうかということもお聞きします。そういう方が、中学校に入って、あるいは受験の時期で勉強しなければならないときに睡眠時間が短くなり、日中の眠気が出てくるということもあります。こういうケースは、日中の眠気が思春期になって出てきたということですが、それは受験などの社会的な要因によって眠くなるものと考えたほうが良いように思います。

また、小さい頃はそれほど長く眠る子供でもなかったが、中学、高校、あるいは稀ですが20歳位のある時期から眠気が出てくるということもあります。そういう場合は、なにか未知の覚醒に関わるメカニズムの障害があるのかもしれないと考えられます。

一方で、「発達障害の患者さんに見られる日中の眠気」でも説明しているように、覚醒系のドパミン、ノルアドレナリンなどの機能がやや低下しているときに見られると思われる、不注意などの症状の一つとして、眠気が出ているケースもあると思います。これは、小学校以前から不注意症状や社会的コミュニケーションの問題などがあったかどうかについてもよく聞き取りをする必要があるかと思います。

いずれにしても、睡眠を含めた生活史を詳細に聴取することはとても重要です。

眠気については、MSLTを行います。これについては、「MSLT(睡眠潜時反復)検査とは?」を御覧ください。 MSLT検査にて、入眠時のレム睡眠が見られないということも特発性過眠症の特徴です。ナルコレプシーでは、入眠時のレム睡眠がMSLTでの昼寝のうち2回以上でることが診断の基準になっているので、これがあれば診断は特発性過眠症でなくナルコレプシーとなります。

個人的な見解ですが、特発性過眠症とナルコレプシータイプ2は、明確に境界が引けない場合も多くあると思います。。

治療は?

眠気に対する治療は、モダフィニルという薬物を用います。一方で、発達障害の診断ができるケースでは、これらに対する薬物も用いることがあります。更に、起床困難例などに対しても、薬物治療での改善があるケースもあります。

いずれにしても、現在の生活上の困っている点をお聞きしながら、より根本的な問題と思われるところから一つずつ解決していくという方法で、治療を行っていきます。

まずは、ご相談ください。