メチルフェニデート(リタリン と コンサータ)はどのような薬ですか

(Last Updated On: 2018年10月2日)

リタリンとコンサータは、同じ物質だが、体内での放出の速度が違う

リタリンとコンサータはどちらもメチルフェニデートという同じ物質の商品名です。この場合の商品名の違いは、ジェネリックなどの商品名の違いとは異なって、薬として異なったものです。まとめると以下のようなことです。

商品名    物質名       適応疾患       薬価

リタリン    メチルフェニデート  ナルコレプシー     9.1円(10mg1錠)
コンサータ   メチルフェニデート  注意欠如多動性障害   337.8円(18mg1錠)

同じメチルフェニデートなのに、適応疾患が違います。また薬価も著しく違い、コンサータは37倍も高価です。これは、コンサータは、メチルフェニデート徐放剤と呼ばれ、体の中に少しずつメチルフェニデートが放出されるような非常に特殊は工夫が薬にしてあるからです。したがって、薬を作るのにも手間がかかるため、薬価も高いわけです。しかし、同じメチルフェニデートなので、体の中に放出されてからの薬理作用は、共通しています。

メチルフェニデートの薬理作用

メチルフェニデートの薬理作用(働き)は、ドパミンという物質の働きを強めることです。また、前頭葉に置いては、ノルアドレナリンの作用も増強させます。したがって、メチルフェニデートを飲むと、ドパミンとノルアドレナリンの作用が強まります。

ドパミンやノルアドレナリンは、覚醒や注意の維持の機能をもっていますので、これを服用すると、眠気が取れ、注意力があがるという効果が期待できます。

薬理作用詳細(やや専門的)

さらに、詳細に説明します。薬の作用を知るためには、神経伝達の仕組みを大まかに知る必要があります。下記の図は、神経伝達の仕組みを大まかに示したものですが、神経は前の神経から次の神経に信号が伝わる部分をシナプスと言いますが、その部分はお互いがくっついてはいません。間に空間があって、これをシナプス間隙と呼んでいます。シナプス間隙には、神経伝達物質が放出されて、それが次の神経の受容体にくっつき、信号を伝えます。そのときに、シナプス間隙により多くの神経伝達物質が存在すれば、信号はより強く伝わります。

一方、神経伝達物質の一部は、図の紫で描いたトランスポーターと呼ばれる部位から、もとの神経に取り込まれて再利用されます。メチルフェニデートは、このトランスポーターの作用をブロックします。そうすると、取り込みが阻害されるために、よりたくさんのドパミンやノルアドレナリンが神経間隙により多く存在するようになり、信号の伝達が強まるというものです。

 

コンサータは、メチルフェニデート徐放剤で徐々に体に放出される

コンサータはメチルフェニデートを徐々に体に放出しますが、徐々に体に放出される仕組みは、この薬を製造しているヤンセンファーマの作ったパンフレットからの図を見るとよくわかります。

  1. 最初に服用すると、カプセルの外側に層となってついているメチルフェニデートがまず体内に放出されます。
  2. その後、カプセルの中に水分が入り、薬物を少しずつプッシュする層に溶け込んで、カプセルの中にあるメチルフェニデートを少しずつ体の中に押し出します。

これらによって、最初の効き始めは通常の薬物のように効き、その後少しずつ体に放出される薬によって、効き目が維持されるわけです。このような手の混んだカプセル型錠剤を作るために、値段も高いということです。

リタリンはメチルフェニデートをそのまま錠剤にしたもの

これに比して、リタリンはメチルフェニデートををのまま錠剤にしたものです。この薬物は、以前は注意欠如多動性障害への適応がありました。しかしながら、2008年からはその適応は取り消され、小児の注意欠如多動性障害には、コンサータが承認され、メチルフェニデートとしての注意欠如多動性障害には、コンサータのみを用いることができるようになったわけです。

この理由は、上記のようなコンサータの持つ徐放剤の作用は、メチルフェニデートの急激な血中濃度の上昇を引き起こさず、そのために依存が形成されにくいからだということがあるようです。下記にその違いの図を示します。

米国NHIのサイトから、転載した図。メチルフェニデートの徐放剤40mgを一度服用したときと、メチルフェニデートの通常の錠剤を2度にわけて服用した場合の血中濃度の推移。2度めの服用のあとに、血中濃度がかなり高まることがわかる(赤い矢印)

こちらは、別のデータで、https://www.drugs.com/ からのもの。徐放剤18mgと5mgを4時間毎に3回服用した場合の血中濃度の推移。

上記のような血中濃度の変化をみると、細かく何回にも分けて服用すれば、徐放剤と比較的重なり合う血中濃度曲線が得られるということもわかりますが、実際には注意欠如多動性障害がある人が、一日何度も忘れずに服用するというのは非常に困難でもあります。

効果と使用法

コンサータは、注意欠如多動性障害の診断ができる人以外では処方することはほぼありません。一方で、眠気に対しては、ナルコレプシーの患者さんにリタリンを注意深く処方することはときにあります。ナルコレプシーには、モディオダール(モダフィニル)を第一選択で投与しますが、これは12時間程度の持続効果が期待できる薬物です。一方で、リタリンの特徴はすぐに血中濃度が低下することですが、これはときに利点とも考えられます。例えば、夕方から夜の眠気がある場合には、夕方に服用しても、23時ころに就床する場合は血中濃度が低下しているということです。このように、補助的に用いることが可能かとも思います。

メチルフェニデートの依存性

メチルフェニデートには、一方で注意しなければならない副作用があります。これは、依存性が形成される可能性があるということです。これについては、メチルフェニデートの依存性の項目を参照していただきたいと思います。

このような副作用があるということから、コンサータにしてもリタリンにしても、是非とも医師の指示を守って服用していただきたいと思います。これによって、治療に適した血中濃度が確保され、最適な治療効果が期待できるからです。

資料

1.英語ですが、メチルフェニデートとそのADHDへの効果については、詳しい情報があります。

Methylphenidate for ADHD: Mechanism of Action and Formulations