モディオダールとはどのような薬ですか?

(Last Updated On: 2018年8月28日)

すなおクリニックでは処方することが多い

すなおクリニックでは、比較的多くの患者さんにモディオダールを処方しています。その理由は、モディオダールが日中の過度の眠気を治療するための代表的な薬物だからです。すなおクリニックには、日中の眠気を主訴に多くの患者さんがみえます。

患者様向けの医薬品ガイドには、モディオダールの適応として「下記疾患に伴う日中の過度の眠気 ・ナルコレプシー ・持続陽圧呼吸(CPAP)療法等による気道閉塞に対する治療を実施中の 閉塞性睡眠時無呼吸症候群」と記載されています。

つまり、モディオダールは特発性過眠症への適応は認められていませんが、実際にはよく用いられます。

参考までに:特発性過眠症への適応が認められている薬物は、ベタナミン(ペモリン)のみです。ベタナミンの適応には「ナルコレプシーの近縁傾眠疾患」と記載されています。これに何が含まれるのかは明記されていませんが、特発性過眠症は含まれいるものと思われます。

モディオダールは「眠気をとる」目的に用いられる薬物でから、承認されている適応のいかんによらずモディオダールが用いられる疾患は、

  • ナルコレプシー
  • 特発性過眠症
  • 睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の眠気

などになります。

モディオダールの半減期

モディオダールの血中半減期は、12-15時間ということですが、朝200mgを服用しても、夜眠れないという患者さんは、ほとんど居ません。むしろ、午後になると眠気が出るということで、朝と昼に分けて服用している人も多く居ます。もともと症状としての眠気があるから、眠れないということがないようにも思います。

モディオダールには他の精神刺激薬と同様に依存性があるかもしれない

モディオダールの作用機序は、よくはわかっていないようです。医療関係でよく使われている処方薬の解説集である「今日の治療薬」には、「メチルフェニデートに比し、依存性は比較的少ない」と書かれています。しかし、様々な研究をみると、他の精神刺激薬(メチルフェニデートなど)に比べて、依存性が低いというわけではないという印象も受けます。例えば、私が以前共同研究を行っていた[1]、日本医科大学のグループは、モディオダールは依存に関わる脳の部位(報酬系)を刺激するということを示唆する研究結果を報告しています[2, 3]。

このような、脳の報酬系を刺激する働きは、リタリン、コンサータ (メチルフェニデート)などにも共通した薬の働きです。また、別項のベンゾジアゼピンもこの脳の報酬系を刺激して依存を形成します。お酒も同様です。

したがって、リタリンやコンサータと同様に、治療的な用量をきちんと守りながら、服用をしていくこと、自分で用量を多くしたりしないことが大事だと考えられます。

モディオダールの薬理作用(専門的)

モディオダールの薬理作用として、依存性がある可能性について述べましたが、比較的詳細に解説している2012年の文献[4]を紹介したいと思います。この文献によれば、モディオダールの薬理作用として考えられものは、以下のとおりです。(内容はかなり専門的です。)

  1. オレキシン神経を活性化する可能性がある
    オレキシン神経が活性化されると、覚醒が保たれます。しかし、オレキシン神経が働いていないと考えられているナルコレプシーでもモディオダールが有効であるということについての説明が難しくなります。
  2. ノルアドレナリンのアルファ1受容体を(アゴニストとして、あるいは再取り込み阻害作用として)刺激する
    この作用があれば、覚醒が保たれると思われます。また、この作用が本当にあるとすれば、ADHD治療薬としての役割を持っている可能性もあると思われます。実際に、これを示唆する論文もあります[5]が、より最近の論文では効果がないという報告があります[6]。私も通常は、モディオダールをADHDの治療に使うことはありません。
  3. 局所のGABAの作用を減弱させて、興奮性アミノ酸神経の活動を増強させる
    この作用によって、脳の活動がより活性化すると考えられ、これによって覚醒がもたらされるとも考えられます。
  4. 多分オレキシンを介して、視床下部前部のヒスタミン神経の活動を上昇させる
    ヒスタミンは、覚醒系の神経伝達物質なので、これによって覚醒がもたらされるということになります。しかし、この場合もオレキシンが関与しているとすれば、ナルコレプシーではあまり効果が期待できないことになります。
  5. ドパミントランスポーターの働きを弱めて、シナプス間隙のドパミン量を増量し、ドパミン神経の活動性を上昇させる
    これが、上記の依存性に関わることです。さらに、ドパミントランスポーターが無い実験用のノックアウトマウスでは、モディオダールは覚醒作用を発現しないということも書かれています。つまり、他の経路でなく、ドパミン系が主な経路である可能性があるということを示唆しているわけです。

現在のところは、はっきりした作用機序はまだわかっていない

このような解説を読むと、現在のところは、モディオダールの脳の中での作用機序は明確にはわかっていないということになります。依存性にしても、無いとは言い切れないということです。一方で、私が臨床的な範囲で使用している限りにおいてはモディオダールだけでなく、コンサータも依存が問題となるケースはほぼありませんが、用量を守って、自分の判断で増量したりしないということはとても大切だと思います。

妊婦への影響は?

比較的信頼のおける、drugs.com というサイトに解説がありましたが、まとめると、「妊婦に対する、十分な研究はまだない。モディオダールに関連した子宮内での発育不全や、流産についての報告はある」ということです。しかし、それの裏付けとなるのは動物実験によるものです。

また、FDAの分類では、妊婦への投与については、カテゴリーCです。

カテゴリーC: 動物実験では胎児への有害作用が証明されていて、適切で対照のある妊婦への研究が存在しないもの。しかし、その薬物の潜在的な利益によって、潜在的なリスクがあるにもかかわらず妊婦への使用が正当化されることがありうる。

文献

  1. Sudo Y, Suhara T, Suzuki K, Okubo Y, Yoshikawa K, Uchida S, Sassa T, Okauchi T, Sasaki Y, Matsushita M.  Muscarinic receptor occupancy by biperiden in living human brain.  Life Sci. 1999;64(8):PL99-104.
  2. Funayama T, Ikeda Y, Tateno A, Takahashi H, Okubo Y, Fukayama H, Suzuki H. Modafinil augments brain activation associated with reward anticipation in the nucleus accumbens.  Psychopharmacology (Berl). 2014 Aug;231(16):3217-28.
  3. Kim W, Tateno A, Arakawa R, Sakayori T, Ikeda Y, Suzuki H, Okubo Y.  In vivo activity of modafinil on dopamine transporter measured with positron emission tomography and [¹⁸F]FE-PE2I.  Int J Neuropsychopharmacol. 2014 May;17(5):697-703.
  4. Kim, D.  Practical Use and Risk of Modafinil, a Novel Waking Drug Environmental Health and Toxicology 2012; 27:e2012007
  5. Taylor FB1, Russo J. Efficacy of modafinil compared to dextroamphetamine for the treatment of attention deficit hyperactivity disorder in adults.  J Child Adolesc Psychopharmacol. 2000 Winter;10(4):311-20.
  6. Arnold VK, Feifel D, Earl CQ, Yang RJ, Adler LA. A 9-week, randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel-group, dose-finding study to evaluate the efficacy and safety of modafinil as treatment for adults with ADHD.  Atten Disord. 2014 Feb;18(2):133-44.