ベンゾジアゼピン系薬物の使用は制限されています。なぜ?

(Last Updated On: 2018年8月20日)

ベンゾジアゼピンは様々な診療科で多く処方されている

ベンゾジアゼピン系の薬物は、精神科だけでなく、内科などでも非常によく処方されています。デパス(エチゾラム)をすでに内科などで処方されていて、そのうえで来院される患者さんもおられます。


YouTube(ベンゾジアゼピンの解説=英語です)

しかし、ベンゾジアゼピンは長期に変更なしに処方することが制限されるようになりました。また、ベンゾジアゼピンを他種類投与することも制限されるようになりました。

注意して用いたほうが良い

すなおクリニックでもベンゾジアゼピンを投与していますが、なるべく

  • 複数の種類を同時に投与しないようにする
  • 長期の連続投与にならないように注意する
  • ある程度長くなる場合は依存性の少ないものをなるべく選ぶ

というようなことを注意するようにしています。

これはなぜでしょうか。 ベンゾジアゼピンは、どれも類似の作用で他種類の投与にあまり意味がないこと。また、結果として他種類に慣れば、より多くのベンゾジアゼピンを投与する結果になっていまうこと。

そして、一番は、ベンゾジアゼピンには依存性があり、長期に渡って投与すると離脱(やめること)が非常に困難になってしまうためです。依存が形成されると、人は探索行動をするようになります。アルコール(お酒)は非常に依存が形成されれやすく、探索行動としてはお酒がないとコンビニにビールを買いに行くようになるのと同じです。ベンゾジアゼピンに依存が形成されると、必ず処方箋を貰いに行くようになります。医師から制限されれば、他の医師を訪ねることもあります。

また、ベンゾジアゼピンの作用は、神経の活動性を低下させることなので、副作用として、昼間ボーッとなりがちだということもあります。ある患者さんで、長期に渡ってロフラゼプ酸エチルという長時間効果の続くベンゾジアゼピンを何日も服用んしていた人がいるのですが、ゆっくりとこの薬を減らして離脱したときに、「ああ、こんなに頭はスッキリするものなのですね。」とおっしゃったのは印象的でした。

過剰にベンゾジアゼピンを恐れる必要はありませんが、「必要最小限の量」を、「必要なときに用いる」ということも大切です。このような理由で、ベンゾジアゼピンは制限されるようになってきています。

離脱(やめること)には、患者さんご自身の努力も必要ですが、より快適で活動的な生活を手に入れるために、信頼できる医師と協力して減量離脱を試みられるとよいと思います。