日常診療での睡眠測定の方法

(Last Updated On: 2018年8月18日)

睡眠障害の相談をするなかで、ときに患者さんの言うことと実際にとれている睡眠の間に違い(乖離)があることがあります。例えば、全く眠れていないというけれども、ある程度眠れている事があるなどです。クリニックでの治療も目的は、患者さんの悩みを取り除いて健康な生活を取り戻すことですから、眠れていてもそう感じて生活できなければ、更に治療は必要だということになります。

そういったときに、実際にはどのくらい眠れているのかということを測定することも治療の助けになります。これによって、実際に眠れている事実を患者さんに示すことができるからです。もちろん、それですべてが解決するわけではありませんが、状況を認識する上ではとても大切です。睡眠の測定法にはいくつかありますが、それぞれの方法の利点と欠点をご紹介しましょう。

生活時間日誌: 患者さんご自身に睡眠の状況をつけてもらいます。この方法で比較的正確に睡眠の状況を把握できることもありますが、時には、診療の前の日にまとめて書いてきたり、書けなかったり、あるいは、実際は眠っていても全く眠っていないように感じてそう書いたりということも出てきます。いずれにしても、患者さんご自身の自覚的な睡眠の状態を把握する上で良い方法です。(当院では過眠症ランドの睡眠日誌を参考に作成したものを用いています。)

 

ウォッチパット: ウオッチパットは、睡眠時無呼吸症候群の検査の方法で、検査に費用がかかります。この方法を用いると、一晩の無呼吸低呼吸の回数を測定することが可能で、この値によって睡眠時無呼吸症候群の治療法であるCPAP(シーパップ)療法を導入することが可能になります。測定値によっては、更に一晩病院に泊まって行う治療が必要な場合もあります。当院では宿泊検査については、主には彩の国東大宮メディカルセンターを紹介しています。

活動量計による計測: 当院では、活動量計による計測も行います。活動量計は、からだに小さな計測装置を装着していただき、睡眠時もパジャマなどにつけて睡眠をとっていただきます。これによって、より客観的に睡眠の状態を把握することができます。この活動量計と生活時間日誌の療法を行うことによって、主観的な睡眠と客観的な睡眠の療法を測定することができ、それらに乖離があることが分かると、これを埋める治療方針を考えることができます。