終夜睡眠ポリグラフ検査とは

(Last Updated On: 2022年10月7日)

終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)とは

終夜睡眠ポリグラフ検査の目的は、当クリニック内で実際に睡眠をとっていただき、その様子をポリグラフ(ポリ=多数の記録指標のグラフ=表示)によって確認することです。これによって、睡眠障害のより正確な診断がなされます。

診断される疾患は、睡眠時無呼吸症候群、周期性四肢運動障害、ムズムズ脚症候群、不眠症、過眠症などがあります。過眠症は翌日にMSLTをあわせて行い、診断します。

どのような方法ですか?

脳波、眼球運動、筋電図、呼吸、心電図などの様々な体の変化を記録する電極をつけて、睡眠の状態を調べます。たくさんの電極をつけるので、自宅で自然に眠るよりも眠りにくいという問題があります。一方で、この検査は睡眠時無呼吸症候群の患者さんを対象に夜間の無呼吸の状態を調べることが多いのですが、そのような患者さんは眠気が強いことが多く、比較的睡眠をスムーズに取ることができます。

具体的にどのように調べますか?

夜間の睡眠の状態を、詳細に調べることについて下記に例を挙げます。

  1. 睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠がありますが、このような睡眠が一晩の中でどのように出現しているかがわかります。また、睡眠中の深さ、中途覚醒、てんかんを含む脳波の変化、呼吸の状態、筋電図による体の動きなどがわかります。
  2. 睡眠時無呼吸症候群の検査として行う場合には、上記のノンレム睡眠、レム睡眠ごとに無呼吸の頻度がわかります。また、無呼吸によって血液中の酸素濃度がどのくらい低下したのかもわかります。
  3. 過眠症では、ナルコレプシーの特徴としてレム睡眠が睡眠の最初に出現する「SOREM:スリープ・オンセット・レム」などが確認できます。また、翌日のMSLT検査とセットで行います。
  4. 不眠症では、終夜睡眠ポリグラフを行うことは少ないです。これは、眠れないことがわかるだけだからです。しかし、「全く眠れない」と訴える方の場合、それなりに眠れていることもあるので、これを確かめるために行うこともあります。
  5. 他の疾患の検査としても行います。例:レム睡眠行動障害→レム睡眠期の筋電図の上昇が所見です。周期性四肢運動障害→足がピクピク動く様子が筋電図に現れます。夢中遊行症、夜驚症など。睡眠てんかん→睡眠中にてんかんの脳波が認められます。

実際の検査の流れ

1.当日の時間的流れ

  1. 検査当日は、平日の夜に行います。18時半に来院していただきます。このときに、受付と診療費のお支払いをお願いします。
  2. 20時の電極装着開始までに、夕食と風呂(シャワー)を済ませてください。来院する前に自宅ででも、来院したあと電極装着まででも結構です。電極装着の際は、パジャマ等に着替えていただきますので、これ以降の外出はできません。
  3. 20時ころから電極の装着を行います。概ね、40分から60分かかります。装着後の様子(すなおクリニック院長がモデルです)を写真で示します。
  4. スタートはご希望の時刻ですが、遅くとも23時(通常な22時過ぎ)までに、記録を開始します。記録は朝まで継続しますが、途中でトイレに行きたい場合は枕元のボタンやインターホンで検査技師を呼んでいただきます。
  5. 朝は、概ね6時から6時半に終了します。また記録中の脳波をみて、早くから覚醒して再入眠が認められないときは、早めに終了することもあります。
  6. 終了後は、電極を取り外し、ペーストなどを拭き取ります。その後、着替えていただき終了です。当院には、シャワーなどがありませんのでそのままお帰りいただくことになります。頭部のペーストはきれいに拭き取りますが、頭部に残ったものを感じる場合もあります。これが気になる方は自宅でシャワーなどを使っていただくほうが良いと思います。
一通りの電極を装着したところ。このあと、電極が外れないようにネットを付けます。
ネットを装着しました。胸と腹のベルトは呼吸の測定用です。

2. 持ち物

20時来院の際の持ち物は以下のとおりです。更に必要な物があればお持ちください。・洗面用具(石鹸、タオル、歯ブラシ、ひげ剃りなど)・必要な化粧品・睡眠時の服装(パジャマ、T-シャツ、ジャージなど、体を締め付けない服装であれば結構です)・サンダルまたはスリッパ(必須ではありませんが、あったほうが便利です)・電極装着から入眠の間までにリラックスする時間に必要なもの(音楽、書籍など; スマートホンやタブレットはブルーライトの影響を考えて使用しないこととします。)

3. アルコール(お酒)について

アルコールを多量に飲むことは禁止します。睡眠時無呼吸症候群などの場合に、普段アルコールを飲んでいる方については、当院では適量な範囲(ビール500mlなど)にて、認めています。アルコールについては、2つ考え方があります。普段と同じ状況での睡眠の様子を観察するためにアルコールを摂取する、ということと、アルコールの影響を除外した状態を観察する、ということです。当院の考え方は、前者です。アルコールの連用が治療の対象にならない程度であれば、持ってきていただいて結構です。一方で、治療の対象になるのであれば、まず断酒の治療を優先するべきとも考えます。いずれも、事前の相談となります。

結果について

概ね2週間以内に結果をお知らせします。睡眠時無呼吸症候群であれば、治療としてCPAP治療(持続陽圧呼吸療法)が必要かどうか。過眠症を含む他の疾患についても、結果を見てご報告し、治療に役立てます。